INTERVIEW 05
技術研究所
社会基盤構築課
Y.T
01
山岳トンネル工事の自動化技術を開発。
安全性と生産性の向上を目指す
私が取り組んでいるのは、山岳トンネル工事の自動化・遠隔化です。危険性の高い作業や、人手・時間を要する作業を機械に置き換え、現場の安全性と生産性の向上を目指しています。
特に力を注いでいるのが「発破作業の自動化」です。掘削の最前線は岩塊が落下する危険性が高い場所です。しかし、現在も発破のたびに作業員が立ち入り、手作業で爆薬を装薬孔に装填し、起爆用の電線を結線する必要があります。
そこで、掘削の最前線に立ち入らずに発破を行うため、私は発破作業の完全自動化に向けた3つの要素技術の開発・導入に携わってきました。専用の機械で、非爆薬の原材料を現場で混合し、爆薬として装填する「バルクエマルション爆薬」、装填ホースを装薬孔へ自動で差し込み、爆薬を装填する「爆薬装填ロボット」、起爆時の結線作業をなくす「無線発破システム」です。
なかでも「バルクエマルション爆薬」は、海外では20年以上前から使われていますが、日本では現場で材料を混合して爆薬をつくる工程が、火薬類取締法上の「製造行為」にあたるため、導入が進んでいませんでした。私たちの開発チームでは、知見と火薬製造の資格を持つ火薬メーカーOBを迎え入れるとともに、私自身も火薬製造の資格を取得し、この壁を乗り越え、国内の道路トンネル施工で初めて「現場製造による発破」を実現しました。
私の知る限り、3つの技術すべてを活用する取組においては、当社が先行していると考えています。これらの技術を一体的に活用し、掘削の最前線に人が立ち入らない発破の実現を目指していることが、当社の大きな強みです。
もう一つ、私が開発から現場適用まで携わったのが、トンネルの仕上がり部分となる覆工の部材を工場で製作する「プレキャスト覆工」です。従来は現場でコンクリートを打ち込んでいましたが、狭い空間で重いバイブレーターを手作業で扱うなど負担の大きい作業が生じていました。プレキャスト覆工では、工場で製作した部材を現場で組み立てます。これにより、現場作業の負担を軽減するとともに、安全性、生産性、品質の向上が期待できます。国内で前例のない工法であったため、研究と実証を重ね、性能や施工性を十分に確認しました。その上で、トンネル本線同士をつなぐ避難連絡坑において発注者の理解を得て、初の現場適用を実現しました。
この技術は、新設に限らず、既設トンネルへの避難連絡坑の増設時にも活用できる可能性があります。通行止めをせずに施工できれば、利用者への影響を抑えられるため、発注者にとってもメリットの大きい工法だと考えています。
02
現場監督から研究者へ。
培った肌感覚が「使われる技術」を生む
私は施工管理の仕事がしたくて戸田建設に入社し、鳥取県での山岳トンネル工事を皮切りに、交差点の立体交差化工事や清掃工場の建設など、土木・建築の現場で13年間、現場監督を務めました。多種多様な現場を経験できたことは、現在の研究開発における大きな強みになっています。
なかでも山岳トンネル工事は、自然の山が相手です。事前のボーリング調査だけでは地中の状態を把握しきれず、硬い地質を想定していても、いざ掘ってみると崩れやすい層が現れることがあります。そうしたときは、地山を補強する工法を加えるなど、実際の状況に合わせて設計を変更しながら掘り進めます。発注者との窓口も担う現場代理人を務めるなかで、状況を見極める判断力や、意図を正確に説明する力を培うことができました。
転機となったのは、現場経験のある技術者を求めていた(国研)土木研究所への3年半の出向です。当時、研究者になるつもりはありませんでしたが、会社からの推薦を受けて飛び込みました。同研究所では、トンネルをめぐる社会的な課題をテーマに、いくつかの研究に携わりました。前半で触れた「プレキャスト覆工」もその中の1つで、民間との共同研究を立ち上げ、当社との協力体制も構築しました。また、(公社)土木学会や(公社)日本道路協会の活動にも参加し、社外とのつながりが広がったことも大きな財産になりました。帰任後は技術研究所に配属され、現在も当時のつながりを研究開発に生かしています。
研究開発の成果は、現場で使われてこそ意味があります。13年間の現場経験を通じて、「これは現場で喜ばれる」という肌感覚が身につきました。現場での課題やニーズを知っているからこそ、新しい情報や技術に触れたときにも「あの課題に使える」と結びつけられます。現場で喜ばれるゴールを見据えられるので、ぶれずに開発を進められて、成果も現場で使えるものになります。
戸田建設の技術研究所には、現場を経験した技術者が多く、現場を知る研究者の多さは、技術研究所の大きな強みだと思います。
